あかいねじ

感想を書く。SF、ミステリ、それ以外について。

ピーター・ワッツ『6600万年の革命』感想

昔の暦で六千六百万年。それだけの期間を旅してきた。

パオロ・バチガルピ『第六ポンプ』感想

「だったらなぜこういうものを買えるんですか?イヤバグや、ベーコンも。ちゃんとどこかで生産されてるからでしょう」

パオロ・バチガルピ『神の水』感想

かつてそれは神の水と呼ばれた。中西部の平原に徐々に広がり、ロッキー山脈を越えて乾燥した土地に進出したアメリカの入植者たちは、そう呼んだ。

ジェイン・ハーパー『渇きと偽り』感想

"干魃"ということばを聞かされてもただうなずくだけで、この川が干上がっていることにどうして思い至らなかったのか。〔…〕巨大な傷のなかに一人立たされたフォークは、両手に顔をうずめ、一度だけ叫んだ。

ジョーダン・ハーパー『拳銃使いの娘』感想

負け犬のように背を丸めて、顔を髪で隠してはいても、少女は拳銃使いの眼をしていた。

小林真大『「感想文」から「文学批評」へ』感想

いかなる文学批評も、どの要素を重視しているのかという視点から、すべて六つのタイプに分類することができるのです。

武田悠一『読むことの可能性』感想

「文学」を内面的な感受性、誠実性の世界と見る考えは、それ自体が一つの文学理論にほかなりません。

レーモン・クノー『文体練習』感想

S系統のバスのなか、混雑する時間。ソフト帽をかぶった二十六歳くらいの男、帽子にはリボンの代わりに編んだ紐を巻いている。——

フェルナンド・ペソア『アナーキストの銀行家』感想

「だった、じゃない。かつてもそうだし、今もそうだ。この点、僕はかわらない。現に僕は、アナーキストだ」

シオドア・スタージョン『海を失った男』感想

さて、もしそれよりももっと大切なことがあるとするなら、今こそそれが姿を現す時だ。

シオドア・スタージョン『輝く断片』感想

どこまでも荒涼と続く、がらんとした暗い回廊をながめ、そして、いままさに彼の手から離れようとしているはかない輝く断片を見た……。

シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』感想

もちろんそれが、この世でいちばん不思議なひと触れだった。

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー 下』感想

そしてまずまちがいなくあなたは、勝つことを好む以上に負けることを嫌う。

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー 上』感想

あなたは定規を信じることを選んだが、システム1がやりたいようにすることは止められない。同じ長さと知っていても、そのように見ることは、あなたには決められないのである。

マイケル・ブルックス『「偶然」と「運」の科学』感想

ランダム性は系自体の性質ではなく、その系に関するわれわれの考え方が持っている数学的性質なのだ。

ジョフリー・ウェスト『スケール:生命、都市、経済をめぐる普遍的法則』

この驚異的な規則性の存在は、これらのまったくちがう非常に複雑な現象すべての根底に共通の概念的枠組みがあること、そして、動物、植物、人間の社会行動、都市、企業の動態、成長、まとまりが、実は似たような一般化した「法則」に従っていることを強く示…

クリストフ・コッホ『意識をめぐる冒険』感想

「意識がどのようなものであれ、それがどのように脳から生じてくるものであろうと、犬や鳥をはじめとするほぼすべての動物が意識を持っている」

澁澤龍彦『魔法のランプ』感想

これを完全に成熟した、高貴な金属にまで成長させてやらねばならぬ。そのために手を貸してやらねばならぬ。これが錬金術の目的である、と。

G・ガルシア・マルケス『予告された殺人の記録』感想

自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起きた。

アガサ・クリスティー『予告殺人』感想

「殺人お知らせ申し上げます、十月二十九日金曜日、午後六時三十分より——」

アガサ・クリスティー『愛国殺人』感想

歯医者へ行ったときに自分を英雄だと思える人間はほとんどない

島田荘司『異邦の騎士』感想

どこまでも歩き続けた。歩いて歩いて歩き続け、地の果てまでも行きたい気分だった。どうせここは見知らぬ異邦の地だ、どこまで行こうと同じことだと考えた。

島田荘司『御手洗潔の挨拶』感想

近頃、私は未知の読者から手紙をいただくようになった。御手洗の近況を報せ、早く別の事件を教えろというのである。

アガサ・クリスティー『火曜クラブ』感想

「——きょうは何曜日でしょう?火曜日ですわね。では火曜クラブとでもして。会合は毎週一度。みんながかわるがわる、何かしら問題を出すことにして——」

アガサ・クリスティー『ねじれた家』感想

そしてみんな一緒にちいさなねじれた家に住んでたよ。

ピーター・スワンソン『そしてミランダを殺す』感想

「僕の本当の望みは、妻を殺すことだよ」

原尞『それまでの明日』感想

私はどうやらまだ生きているようだった。

米澤穂信『満願』感想

鵜川妙子は五年の服役の果てに、満願成就を迎えられたのだろうか。

チャイナ・ミエヴィル『都市と都市』感想

ひとつの都市、もうひとつの都市、また別の都市。——

スタニスワフ・レム『完全な真空』感想

文学はこれまで、架空の登場人物について語ってきた。我々はその先に進もう。つまり、架空の書物のことを書くのである。