2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧
厳密には5月に「読んだ」本ではなく5月に「感想をブログに載せた」本である。私以外にとっては全く関係ないし、私自身もどうでもいいと思っている。SF、ミステリ、非文芸書から一冊ずつ選んだ。
「先住民のブラックフット族の言いつたえでは、茶色い蛾は眠りと夢をもたらすんですって」
この世をふかく、ゆたかに生きたい。そんな望みをもつひとになりかわって、才覚に恵まれた人が鮮やかな文や鋭いことばを駆使して、本当の現実を開示して見せる。それが文学のはたらきである。
全ての可能な文字列。全ての本はその中に含まれる。
ここに本来書かれているものは、今見えている文章では全くない。
「昔、文字は生きていたんだと思わないかい」
だけど、また本を最初から読みはじめれば、みんな帰ってくるんだよ。
それから三分後、機密警察の一員ガブリエル・サイム氏は、ヨーロッパ無政府主義総評議会の木曜日に選任された。
わたしはこの街、香料樹園にある公共図書館の、四段構造になった書架のうち、上から三段めの棚に住んでいる。
いずれにしろ、世界は終わりを迎えるか、もしくは、終わらないとしても闇に飲まれることになる。
金庫にふれるときは、それを女だと思え。ぜったいにそれを忘れるな。
読んだ。
これは私の知る限り、最も不思議な事件だ。おそらく世界にもまずめったに例を見ない不可能犯罪であろうと思う。
わたしたちが[時間]と呼んでいるものは、さまざまな層や構造の複雑な集合体なのだ。
読んだ。6600万年よりもさらに長い50億年。それは地球が生まれてから生物が住めなくなるまでの時間でもある。
昔の暦で六千六百万年。それだけの期間を旅してきた。
「だったらなぜこういうものを買えるんですか?イヤバグや、ベーコンも。ちゃんとどこかで生産されてるからでしょう」
かつてそれは神の水と呼ばれた。中西部の平原に徐々に広がり、ロッキー山脈を越えて乾燥した土地に進出したアメリカの入植者たちは、そう呼んだ。
"干魃"ということばを聞かされてもただうなずくだけで、この川が干上がっていることにどうして思い至らなかったのか。〔…〕巨大な傷のなかに一人立たされたフォークは、両手に顔をうずめ、一度だけ叫んだ。
負け犬のように背を丸めて、顔を髪で隠してはいても、少女は拳銃使いの眼をしていた。
いかなる文学批評も、どの要素を重視しているのかという視点から、すべて六つのタイプに分類することができるのです。
「文学」を内面的な感受性、誠実性の世界と見る考えは、それ自体が一つの文学理論にほかなりません。
S系統のバスのなか、混雑する時間。ソフト帽をかぶった二十六歳くらいの男、帽子にはリボンの代わりに編んだ紐を巻いている。——
「だった、じゃない。かつてもそうだし、今もそうだ。この点、僕はかわらない。現に僕は、アナーキストだ」
さて、もしそれよりももっと大切なことがあるとするなら、今こそそれが姿を現す時だ。
どこまでも荒涼と続く、がらんとした暗い回廊をながめ、そして、いままさに彼の手から離れようとしているはかない輝く断片を見た……。
もちろんそれが、この世でいちばん不思議なひと触れだった。
そしてまずまちがいなくあなたは、勝つことを好む以上に負けることを嫌う。
あなたは定規を信じることを選んだが、システム1がやりたいようにすることは止められない。同じ長さと知っていても、そのように見ることは、あなたには決められないのである。
ランダム性は系自体の性質ではなく、その系に関するわれわれの考え方が持っている数学的性質なのだ。