島田荘司『御手洗潔の挨拶』感想
近頃、私は未知の読者から手紙をいただくようになった。御手洗の近況を報せ、早く別の事件を教えろというのである。
読んだ。
御手洗潔シリーズ第三弾の短編集。四つの短編を収めている。
数字錠
- 密室で男が殺された。しかしその密室の二つの出入り口はそれぞれ錠前と数字錠で鍵がかけられていた。
- トリックがかなり雑。
- 数字錠が1000通りしかないことはそんな長々説明するようなことじゃないだろ!
- 密室にすることの意味は無かったのでは?数字錠を持ち去るとかできそう。犯人が未熟だったと言えばそうなんだけど。古い作品なので仕方ないか。
- 物語としては結構いい。
- 探偵が事件を解決するのは何のためか、解決する方法に嘘を用いた御手洗は正しかったのか。
こんどのことでは、ひとつ大きな教訓を学んだ。犯人とは仲良くなるなということです。
- 探偵が事件を解決するのは何のためか、解決する方法に嘘を用いた御手洗は正しかったのか。
疾走する死者
- 題名がいい。謎も面白い。
- マンションから姿を消した男がそのすぐ後に電車に轢かれて死んだ。しかしその距離は全力疾走してもたどり着けない距離だった。御手洗がこの高速移動の謎を解き明かす。
- 読者への挑戦がある作品。ワクワクする。
- 手品が不自然。帽子がないことが強調されることで入れ替わりも分かる。
- この状況を作れたのはセールスマンしかいないのでフーダニットは分かった。でもどうやったのかは分からなかった。ロープのくだりってバカミスの範疇に入りませんか?入らない?そうですか。
- 死体が飛んでいってたまたま水溜りに入ってたまたま電車に轢かれる。
- そうはならんやろ。
- 読者への挑戦も含めて作者がふざけた一作。ワクワクを返して。でもめちゃくちゃ笑った。
- そうはならんやろ。
- 死体が飛んでいってたまたま水溜りに入ってたまたま電車に轢かれる。
- この状況を作れたのはセールスマンしかいないのでフーダニットは分かった。でもどうやったのかは分からなかった。ロープのくだりってバカミスの範疇に入りませんか?入らない?そうですか。
- 手品が不自然。帽子がないことが強調されることで入れ替わりも分かる。
- 御手洗と対立する評論家やセールスマンの造形が後書きにある作者の日本人論に沿っている。
- こういうところ、陰謀論にハマる片鱗が見える。後付けだけど。悲しいね。
- ドラムスティックのことバチって言う?言うのかな。
紫電改研究保存会
謎の老人に謎の雑用を頼まれる謎の話。
何かが盗まれたのは分かるが何が盗まれたのかが問題になる。
宝くじ。
たまたま爪に番号を書いて宣伝している奇特な人物がいて、なんとその人の番号が当たっていたと、そいういうことじゃないかしら。
- そうはならんやろ2。
- 一応幸運と不幸とか爪の数字は伏線がはられている。
- そうはならんやろ2。
当選したか確認していたらすり替えはバレるのでは。しないよりマシか。
ギリシャの犬
- 子供が誘拐される話。
- ローカルな情報が出てくるので謎解きの解決感がなかった。こういう時に田舎住みは悲しい。
正統派のミステリが一作もないので異色の短編集だと思う。変わり種なミステリが好きだとか御手洗潔が好きな人が読む本。私とか。