あかいねじ

感想を書く。SF、ミステリ、それ以外について。

ジェレミー・ウェッブ編『「無」の科学』感想

無ほど興味深いものはない。無ほど不可解なものはない。そして無ほど重要なものはない。

読んだ。

生物学、物理学、心理学、数学、医学といった広範な領域から、「無」をテーマに選ばれたトピックについて解説する。『「偶然」と「運」の科学』に似ている。というか、出版社と翻訳者が同じだ。内容は以下の通り。

三つだけ取り上げる。

ビッグバン

  • 宇宙が無から生まれた直後に起こったことの簡単なまとめ。4つの力や素粒子の生成、宇宙の晴れ上がりといった話題がまとめられている。
  • 高エネルギー物理学について。今のところ宇宙誕生から10^-12乗秒後のエネルギーまで再現できるらしい。今の物理学が成立するのが10^-35秒後、力が分かれたのが10^-43秒後らしいがどうやってこの数値を出したのか気になる。
  • 陽電子と電子の数の偏りについて。100億:100億+1の偏りがあるらしい。11桁の測定ができるのって凄いと思った。
  • ビッグバンの根拠にはヘリウムと水素の比、背景放射と宇宙の膨張があるらしい。最初のは知らなかった。
  • 時間の始まりについて。時間と空間は宇宙が生まれたと同時に(これはちょっと怪しい表現だが)発生したと言う説。ビッグバン以前という言葉は形容矛盾になる。時間がそもそも存在しないのだから。ホーキングの「北極点より北」という言葉が簡潔にこの事態を言い表していて、頭がいい人は比喩も上手だなあと思った。

    0の歴史

  • 位取り法として始まったというのが定説なのか。11と101を区別するためのプレースホルダーに始まり、インドで負の数と正の数の間にある数として発見された。負の数が先というのは意外だった。

ある数からそれより大きな数を引いたらどうなるかといった〔…〕型破りの疑問について考えることができた。

こうして、正の数と負の数の両方を表す、両方向に見える限り延びる連続的な数直線が生まれた。この数直線の中央、正の世界と負の世界の境目である特別な点は、「シューニャ」(空)と呼ばれるようになった。

  • 微分について。これも0で0を割れるのかという問題を含んでいるとして批判されたらしい。ライプニッツの反論が「技巧(なんか上手いこと言って綺麗だからいいじゃん)」というのところが面白ポイント。現代物理学でもそういうところはある。極限の発明(とそれによる微分の正当化)はその後。
  • 00は0/0が定義できないのと同様の理由で定義できない。確かに。
    • 解析的にはそうだが、00=1とする流儀もある。指数か底のどっちを重要視するかで違ってくる感じらしい。

      プラセボ効果/ノセボ効果

  • メタ分析では有意差が出ていないらしい。
  • でもホルモンの量の変化とかは測定できているので有効なのかどうかはまだ難しい、っぽい。
  • 知っていても知らなくても効果は出る。

教訓

  • 運動は毎日ちゃんとした方がいいよ。