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感想を書く。SF、ミステリ、それ以外について。

大森望『SFの書き方』感想

本書は、株式会社ゲンロンが主催する「ゲンロン 大森望 SF創作講座」の講義録です。

読んだ。

SF好き(といってもピーター・ワッツやテッド・チャンとか今有名な本しか読んでない)としてSFってどう言う風に作られるの?というあたりを知りたくなったからである。嘘である。やっぱりなんかSFを読んでいると、自分もこういうの書きたいなあ、と思って、ともすればこんな本に手を伸ばしてしまうのだ。

でもSFを書く予定はない。今のところ。

感想

人によって分かりやすかったり分かりにくかったり。理論派と感覚派といってもいい。個人的には

が理論派で、感覚派としては

氏が挙げられる(一人だけになってしまった)。他の講師陣の方では具体的にツールや考え方について話している。やっぱり道具も大事なんですね。

私的メモ

冲方丁

  • 梗概は「ひとまとまりの、読んですぐわかるもの」。3行で書け。
    • ストーリーに関係ない修飾を除く。
    • 誰がなぜ何をしようとして、どうなったか。
    • 面白くなくてもわかりやすければいい。
    • 完成形でなくてもいい。
  • 結論から考える視点。結論から最短/エンタメ最大化の道筋を選ぶ「マッピング型」
    • 結論を考えないで書き始める「粘土型」
  • 課題を言葉にしておく(例:10人出して会話劇を成立させる)
  • 共時性vs普遍性。
  • 面白さの技術。
    • 明確な結論を伏せる。
    • 意外性。
    • 冒頭で謎を作る。

藤井太洋

  • 他人の作品を推敲する。
  • ツール:Scrivener。
  • 絵を描くとかけている描写がわかる。

法月綸太郎

  • ジャンル違いの可能性。リアリティレベルの設定。
  • 本格ミステリの地の文で許される嘘。

円城塔

  • 広く受け入れられるようにする。
  • 基本的に一回しか読まれないので梗概はちゃんと書いた方がいい。
    • 梗概3枚、本編50枚。
  • 文体。
    • 文章を素直に読めるか。純文学は難しい。
    • たとえば翻訳しても同じ情報量で分量が3割くらい変わりうる。
    • 省略の文脈。アニメ、映画。

山田正紀

  • プロット論。
    • ハリウッドセオリーvs型破り。
      • 読者層の設定による。
  • ツール:Evernote

私はこの講師たちの著作を一度も読んだことがない。最初にSF好きを名乗ったが、これは嘘になる(もちろん読まないでSF好きを名乗っても悪くはない、悪くはない……)。いずれ読んでみたいと思う。